今月の句会・2011・1月

  作品抄

祝い箸新しき名を記しおり      イマ

読初や源氏の君と女御たち      アヒ

キリストも釈迦も忘れて日向ぼこ      ワユ

書初や流るる止める跳ねる袖      コフ

氏素性問答無用海鼠殿      ワユ

撫で牛の眼差しやさし春隣      チシ

火鉢に土入れて葉牡丹ストレチア      ナミ

初みくじ秘め事一つ増えにけり      チト

天金の本に冬日の及びけり      アヒ

元旦に生れし人の米寿かな      アノ

梅咲いて庭にはじまる花ごよみ      チト

底冷えの路上ライブのこえかたし      アノ

凧の糸風の鼓動を子に渡す      チト

初春や鏡の中の母に逢う      ナミ

降る雨の音に目覚めて春近し      チシ

大寒や雑巾がけを幼き日      アノ

大寒や稽古に励む小剣士      ハセ

大寒の風に朱き実凛として      ナミ

 

※凧は、春の季題で、正月の凧を詠むときは、「初凧」となります。

   今月トンボの句  吟行句

 

   荏原七福神めぐり 1月7日

 

小山八幡神社(大国天)→摩耶寺(寿老人) →法蓮寺(恵比寿)→上神明天祖神社(弁財 天)→如来寺(布袋尊)→東光寺(毘沙門天) →大井蔵王権現社(福禄寿)

 

寒餅のたまわる紙の貼られおり     オミ
譲り葉の満身創痍古木なり
宝船乗ったつもりの福詣
人日や花頭窓から五智如来
寒空や東司に神の祀られる
         

初詣カメラに向ひ並びけり        チシ
行く人に道をたづねる福詣
大仏の五体おろがみ冬ぬくし
ゆずり葉や手押ポンプをたはむれに
福詣ランチタイムの仕合せに

         

道を問いまたまた問える福詣       アノ
邸宅の塀に隣りし大根畑
龍祀る天祖神社や破魔矢受く
如来五躯祀る本堂注連飾り
元勲の墓所に行き合う七日かな

         

楪や宮司一家に幼き子          アヒ
五躯御座す大仏殿の淑気かな
夕月やあと一神の福詣
空風やビルを背ラの権現社
七福神詣で終へたる日暮かな

        

江戸見坂坂はゆるやか七福神      ハセ
公園にひと息ついて七福神
山茶花の三つ四つ咲ける江戸見坂
リゾットを食べて一月七日かな
青空や中原街道寿老人

         

七福へ江戸見坂から始めけり      ヤミ
福詣荏原は古き町ならむ
山茶花や厠を跨ぐ信心も
七つ目も道に迷える福詣
水洟や満願成就中華蕎麦

            
降り立ちて淑気の道に入りにけり    トンボ

七日はや住宅街のうらさびし
大方は道に迷うて七福神
弁天堂順待つ列に終りなし
逆光の山茶花五体の大仏(大井の如来寺)