今月の句会報 2012・2月

句会抄

 

赤樫の鍬ひと降りや雪消風雪解風     コフ

物食えぬ母の好める木の芽和      イマ

年の豆写経の紙に転がれり      スミ

野水仙たてがみ白く日本海      ワユ

常楽会奥の院の杖の音      シケ

白椿すぐ止む雨に濡れにけり      ヤミ

筆持てば半紙に春の訪るる      イマ

春の雨人も畑も濡れてをり      チシ

掌に三つの温み寒卵      ミミ

春の川友禅流し一色に      チト

雪残る峠明るき父の国      イカ

残雪の地中流るる水の音      チシ

残雪のかわたれ時を急ぎけり    オミ

 

秀作

 

春の雨人も畑も濡れてをり      チシ

残雪のかわたれ時を急ぎけり      オミ

 

 

 

 

待乳山聖天 拝殿
待乳山聖天 拝殿
東京スカイツリー
東京スカイツリー

吟行句 2012・2・4

浅草待乳山聖天から向島牛島神社、業平橋駅へ

 

花川戸靴屋鞄屋寒明くる

手水舎に猫ゐて冬の終りけり
僧正様御成の太鼓梅莟む
人に蹤く言問橋や春立つ日
銀紙の巫女の元結あたたかし

         

春うらら御みくじ引きて待乳山
春の空スカイツリーと隅田川
素人を断る店舗春愁
夏蜜柑眼下に実る待乳山
蒲公英や犬を抱く人連れる人

         

献燈と花柳小菊春浅し
浅草に春の立ちたる待乳山
春はじめ言問橋をゆっくりと
水温む鯉の動きの滑らかに
何もかに春を感じて向島

        


残る鴨元は水戸様下屋敷
航跡に春のきざしのすみだ川
籤一番大吉引いて春立てり
上総屋の漬丼人気春の昼
紅梅とスカイツリーとすみだ川

         


草に木に日の遍しや春浅し
待乳山の青首大根龍天に
おみくじの百の抽斗寒明ける
春立つや大川端の食事処
黒猫の首輪に小判木の芽風

         


待乳山二股大根春浅し
紅梅や言問橋を正面に
聖天を祀れる寺の長閑なる
春さきの小買物して花川戸
祝婚の拍手送りぬ春立つ日

         

  

  トンボ

春の立つ東京メトロコンコース     

紅梅や矢印平成中村座
梅が香や言問橋へさしかかる
春浅しデパート松屋花川戸
春立てり三段重お弁当