今月の句会報  2012・4月

     句会抄

 

春の風邪ベートーベンは嫌ひなり      ヤミ
真砂女忌は父の忌香を薫き           イカ
花衣ひたと平成中村座              ヤミ
鳥雲に妻のピアスを誰にやろ         イカ
鉛筆を削る匂ひや4月来る           イレ
うららかや前掛替へし地蔵尊         スミ
山桜山は神住む山となり           シけ
夕ざくら手つなぎ来る子どもたち      スミ
晩春や瞼重たき盧舎那仏            イレ
晩春の待合室に時過す              ハセ
菊根分け姉さま被りすぐ解ける       チシ
晩春の灯ともし頃の町が好き         チシ
スカイツリー右に左に桜かな         オミ

 

※「嫌ひ」と「好き」の句がありましたが1種の流行なのでしょう。

菜の花と権現堂堤
菜の花と権現堂堤

今月の吟行吟行 2012・4月

 幸手の権現堂桜堤

         

花時を五人で歩く土手堤      オミ
今日の日は桜菜の花青い空
高遠の桜をここで見て居りぬ
短冊の桜の枝に揺れて居り
花冷えのギャラリーとして旧家あり

          
長堤に沿いし菜の花明かりかな   アノ
連翹や塀に沿わせて咲かせおり
五霞町へ菜の花跨ぐハープ橋
花冷えや茶屋の一番煮こんにゃく
前景に菜の花明り桜土手

          
空よりもまばゆき花菜明りかな   アヒ
憂ふこと急ぐこと無き日花菜道
土筆長け草にまぎれてしまひけり
村里の風荒き土手花の土手
花冷の身に接待の御薄かな

         

権現堂桜堤や風光る        ヤミ
行きずりのひとと束の間野蒜摘む
菜の花や耳の薬師の寂びにけり
見下ろせる利根の流域鵯鳴けり
大小の太鼓を置きて花見かな

           
花冷や旧町名の右馬之助      トンボ
権現堂堤の桜ソースの香
花がひと集めて復興支援店
迷ひ子の放送ありて花三分
花冷や太鼓の響く腹の上