当日作品抄
朝戸出の雨来る気配花は葉に イカ
桐の花こぼれて異人坂といふ
人増えてきし権現のつつじかな
公園は駅へ近道春落葉
財閥のゆかりの家の軒菖蒲
桐の花薄紫に異人坂 オミ
緑陰や根津権現の雨あがる
将軍の奉納神輿木下闇
躑躅咲く乙女稲荷の鈴の音
玻璃ガラス青葉若葉を写し居り
小手毬に触れて歩きぬ異人坂 チシ
雨あがる人の寄せ来る根津神社
厄除けの粽に人の列できる
濡れ縁に佇みをれり夏近し
菜種梅雨昏き公園抜けにけり
橡散るや坂の石垣苔生して アノ
玉垣に八重垣町と白躑躅
軒菖蒲屋敷を守るボランティア
風薫る畳廊下の玻璃硝子
薫風や網代天井水屋かな
橡の花こぼるる雨後の異人坂 アヒ
雨上る旧家玄関軒菖蒲
風通る畳廊下や夏隣
二階より一望の庭緑さす
新緑や谷根千界隈雨走る
夏めくや葉をちらちらと透塀 ヤミ
厄除けの積まれて青き粽かな
初夏や風の通れるレストラン
雨音のやがて滝音樹々深く
講談社ありしと路地の柿落葉
雨上り人湧き出るつつじかな トンボ
旧安田楠雄邸なる軒菖蒲
椎若葉名のみ残れり八重垣町
行く春の畳廊下を歩きゐる
松の花特養ホームありにけり