2012・6月 定例句会抄

今月の吟行句会  東京スカイツリー            2012・6・2


湘南に向日葵咲いてレストラン   イマ

万緑をひとり占めする夜明けかな  ミヨ

上州の空を写して植田かな     オミ

石楠花の赤の色から暮れゆけり   アヒ

駄菓子屋は今も駄菓子屋燕の子   チト

母衣蚊帳に訛り交じりの子守唄   シケ

こげもよし集いに炊ける豆御飯   イケ

万緑のはじけておれり金擬宝珠   イマ

菖蒲田の蜘蛛手の橋をすれちがふ  チシ

釣堀の妻が手渡す麦わら帽     コフ

点ゝと釣堀の雨始まれり      ヤミ

睡蓮の池の余白の光りたる     アノ

紫陽花の瑠璃の輝く雨雫      イレ

花菖蒲咲きて雨戸の下りし家    ハセ

夏落葉して金之助キヨの墓     イカ

蟇大きな闇を背負いけり      ワユ

夏霞天空樹とふ中国語        イカ
夏シャツに着替へてスカイツリー見る
塔仰ぐ南耳の大きサングラス
業平と名のある橋や花菖蒲
つくばひに金魚画廊の休みの日

         

夏がすみ隅田荒川のぞみをり     チシ
風薫る人の流れに添ひてゆく
あやめ咲く駅の名変る街をゆく
真下から見るスカイツリー若葉風
涼しさや雑踏避けて橋の上

         
夏はじめ新しき町生まれけり     アノ
花菖蒲業平の街賑わえり
涼風やカーブミラーにスカイツリー
夏めくや角の蕎麦屋に人の列
眼下なる墨田は水都夏の雲

         
若葉風いざ出来たての塔見んと    アヒ
昇降機一気に夏の夏の中空へ
寝ころびて写真撮るひと樟若葉
夏の日と塔の高さにめまひせり
北十間川をカヌーの折り返す

         

夏の朝見知らぬ駅に心せく      ヤミ
夏服の身を吹き抜けの中に置く