今月の定例句会 2012・7・22

雑詠抄

 

民宿の昼のトマトの丸かじり     アヒ

はかみちの落梅踏んでしまひけり   イカ

耳よりの大きなピアス夏旺ん     シケ

食べ頃と文添え鮎の届きけり     ケイ

すれ違ふだけの小径や花菖蒲     スミ

流灯の行く手大きな闇があり     ワユ

叱らるる子も先生も水着かな     チト

青田中静かな風の渡りをり      アノ

荒海の騒ぐ小島の青田かな      シケ

下校の子青田の畦を駆け行けり    アノ

 

※今月は不調でようやく10句にしました。

谷中へびみち吟行 2012・7・7

作品抄

 

梅雨晴間道を隔てて根津谷中      チシ
自家用の井戸のありけり額の花
人声の響く路地裏花魁草
半夏雨谷中古地図の玉林寺
夏木立天心像の六角堂

         

今年竹角の小さなパン屋さん      オミ
梅雨晴間草むしりする寺の人
格子戸に浴衣姿も谷中かな
抹香の無くて梔子垣根かな
穴子食うちょっと贅沢して居りぬ

         

石塀になめくじの痕三浦坂       アノ
梔子の花に寺町匂いけり
梅雨湿り古地図の寺を訪ねけり
町中の老人ホーム薔薇の雨
町会に旧町名や百日紅

         

寺坂の道の曲りて時計草        アヒ       
三叉路を占むる大樹や梅雨鴉
岡倉天心記念公園真昼の蚊
花魁草風に遅れて揺れにけり
鉄線花町に小さなベーグル屋

         

大書して虫封じとあり谷中梅雨     ヤミ

白南風や開店前と喫茶店
四つ辻に二軒の平屋花むくげ
合歓咲ける谷中へび道悉皆屋
天心の六角堂の梅雨湿る

         
くちなしの花一色の御坊かな      トンボ
青梅雨や天眼禅寺玉林寺
額の花藍染川の名を遺す
新内の稽古処や時計草
黒南風や猫の茶屋ある三浦坂