◎6月定例句会   6・23

定例句会抄

 

をみならとをれば雨来る菖蒲園      イカ

二日草可もなく不可もなく暮るる     シケ

何気なく寄りし丸善桜桃忌        シケ

花菖蒲意外に遠き帰り道         スミ

駒下駄の鼻緒のきつき更衣        イア

蜜豆に付き合つてゐて埒もなし      イカ

合歓咲きて一つ増えたるバス路線     チシ

川筋に点る明りや夕涼み         チシ

地下街にカレーの匂う芒種かな      スミ

蛍火や音信川(おとずれがわ)の奥の闇  アノ

鮎焼の炉辺に父の座ありしかな      シケ

◎6月吟行会  鎌倉   6・1

   龍口寺、腰越萬福寺、小動神社

 

並走のヨットは風に乗りにけり       イカ
祖師像を仰ぎてをれば黒揚羽
手水吐くからかねの龍若葉風
梅雨冷ゆる腰越状の版木とは
江ノ電が過ぐ縁先の蚊遣香

         
七面社奥に祀らる夏木立          チシ
江ノ島の駅舎に人や夏来たる
五月晴れ潮風浴びつ満福寺
桜の実こぼれ刑場跡地かな
延寿の鐘撞きて夏潮浴びにけり

         

狛犬の赤布かぶる梅雨晴間         ハセ
七面山五重塔や夏に入る
夏の鳶七面山は森の中
夏めけるえぼ鯛「値段お手頃」と
海を見る見晴台や夏とんび

         

右ディゴ左菩提樹門涼し          ヤミ
日蓮の受難の場てふ木下闇
木苺や五重塔へ坂一つ
江ノ電に沿うて町並汗拭ふ
しもつけや江ノ電通る甘味処

         

夏潮の音とも松の風なりし         トンボ
鎌倉の亡びし者の夏木立
七面山山ふところの揚羽蝶
腰越に電車を止める暑さ来る
あぢさゐや腰越状と云へるもの