◎2013・7 定例句会  7・28

当日作品抄

 

リボンやや褪せても大事夏帽子   スミ

蟬しぐれ戦前戦後資料館      チシ

いもうとに反し文書く夜の秋    イカ

かんなぎと交わす挨拶合歓の花   イカ

対岸にたつきのあかり花火果つ   イカ

日雷鈴鹿連峰一文字        イケ

雲の峰待合室の電話帳       チト

地震見舞暑中見舞と重なれる    イレ

いま恋をしている気持サングラス  スミ

口きつくなりたる友や心太     ハセ

ソーダ水グラスに生る碧き海    イマ

公園に蟬の集まる一樹あり     アヒ

夏つばめ城下に残るなまこ壁    イレ

郭公や訪ねて遠き美術館      シケ

異国にて点滴受けし暑気中り    イケ

暑気中りとは懐かしきことなりき  ハセ

 

●原 句

かんなぎと朝の挨拶合歓の花

日雷鈴鹿連峰真一文字

雲の峰待合室の時刻表

地震見舞暑中見舞と重なれり

暑気中りとは懐かしきことばなり

 

◎入谷朝顔市吟行  2013・7・8

当日作品

        
人を待つ朝から暑くなりさうな   イカ
七月の八日入谷の晴れにけり
水無月の市立つ入谷鬼子母神
買ふつもりなくも朝顔市の中
老紳士朝顔市を戻り来る
        
まづ参拝すませてからの朝顔市   チシ
別々の電車乗り来て朝顔市
汗拭ふ手拭首に売子達
配られる団扇貰ひて市の中
炎天を来て炎昼を帰りけり

          
梅雨明けの朝顔市となりにけり   オミ
宅配の受け所ありけり朝顔市
朝顔市行灯仕立の團十郎
炎天の入谷朝顔鬼子母神
朝顔市ここで一鉢二万鉢

        
入谷市何処に佇ちても油照り
噴き出せる汗や素顔をさらしをり  アヒ
炎昼の葭箕途切れる市の果て
隠れやう無き炎昼の大通り
地下鉄にやや持て余す団扇かな

        
朝顔市四色立を求めけり      アノ
梅雨明けや気温三十五度の町
片陰や熱中症の警告板
朝顔市鉢を片手に日比谷線
「金鳥」の団扇貰いて鬼子母神

       
朝顔市紺色あるを確かめる     ヤミ
小学校朝顔苗の萎れをり
鬼子母神朝顔市の入谷なる
木下闇子規漱石の師弟句碑
よれよれとなりて朝顔市の中

       
犬抱きて朝顔市の中のひと     トンボ
羅のひとや入谷の鬼子母神
鉢巻も法被も朝顔市の顔
ハングルの言葉も朝顔市の中
夏帽の外国婦人や鬼子母神