◎2013・9月定例句会     9月22日

当月雑詠・兼題抄

 

根岸から田端へ周る九月かな      イカ

母の一語年経て重しかりんの実     イレ

八雲忌の遅き昼餉の割子蕎麦      アヒ

行く先を流れにまかせゐる落葉     スミ

関帝に跪拝の媼曼珠沙華        イカ

虫の声割って岸辺へ渡し舟       アノ

烏瓜手繰り一樹のざわめけり      チト

朝顔や昔やつちや場ありし町      ヤミ

施餓鬼寺石工のまじり賑はえり     チシ

我が古稀と気づけば何と子規忌なり   イア

鈴虫の籠交番の隅にあり        ワユ

鈴虫の耳に残れり夫あらぬ       スミ

 

原 句

関帝に跪拝の媼秋暑し

施餓鬼寺石工もまじり賑はえり

 

我が古稀と…の句

表現は稚拙ですがそのこころ、よく出ていると思います。

 

表現に問題あり

●ふるさとに青空ありき鰯雲

 

青空と鰯雲。いま見ている空はどちら?

   

ふるさとに青空ありき芒原

 

●小鳥来る辻に青面金剛碑

  

碑は、その由来を石などに彫ってあるもの。いしぶみ。原句通りに読め   ば、青面金剛像の由来を書いた「いしぶみ」のこと。

 

青面金剛像を詠んだものと思われますので

 

小鳥来る辻に青面金剛像

 

 

◎2013・9月    9月7日 青戸(青砥)界隈

         
川風の白露といへる日なりけり       イカ
輪違の寺紋を屋根に天高し
風に乗る稽古囃子や酔芙蓉
江戸切子工房の蔦かづらかな
新涼や画廊の目高健在に
        
葛西城跡を歩める牛膝           チシ
秋茜中川土手にむれてをり
江戸切子工房のあり秋深し
秋の蚊の城址公園歩きけり
藤綱公故事来歴や天高し
          
神木に登りし日あり法師蟬         オミ
飛蝗追う目敏さ今もたしかなり
城跡を印す石なり秋の蝶
社寺病院養護施設や秋澄める
工場の跡地の緑秋の風
       
環七を渡れる秋の蚊を連れて        アヒ
群蜻蛉頭上を通過して往けり
数珠玉や何かあやしき空模様
秋の川見てゐる院内レストラン
秋日濃し公園真昼人気なく
       
朝顔の蔓のからまる切子店         アノ
環七の下に城跡百日紅
秋茜中川土手に花火殻
開発に墓地残さるる秋の声
中川のこの先蛇行秋茜
       
三方に根菜十種秋祭            シケ
秋気澄む平和公園子の声す
残る蚊や濡れて石ある城の跡
貰いたる風船かずらの種ひとつ
城跡に咲くを盛りの夕化粧
            
後になり先になり飛ぶ赤蜻蛉        ミノ
石垣の下に城址や秋の声
夏落葉鳩のついばむ城の址
穂芒のそこここにあり土手伝ひ
烏瓜蔓を伸ばして花ざかり
       
葉月なる百葉箱や椨の翳          ヤミ
神木の洞に秋思のありにけり
しづかさの陰の祭の秋の風
秋の声蘇鉄明るき風の吹く
表札に名前は五人実る柚子
       
城跡を標すは石とゐのこづち        トンボ
秋風や玻璃の内なる江戸切子
樟の葉を揉みたてをれば秋の風
烏瓜咲きて白露の日なりけり
手に採りし風船葛へ顔の寄る

 

葛西城は、その真ん中を環状七号線が通ることになり、遺跡として発掘作業が行われ、その作業の終わるのを待って埋め戻され、環七の下に眠っている。

葛西の中心地がここ。

青砥藤綱の伝承の残るところでもある。