当日の入選句
条幅に坐して華甲の筆始 イマ
石臼の転がつてゐる寒さかな ワユ
ははそばの母に作りし七日粥 シケ
方丈の戸を引く音も師走かな スミ
バンダナで髪を束ねて飾り焚く スミ
切干の煮付け加える三日かな イケ
焼香に進むマスクを外しけり イカ
荒れ狂う海を見ている実朝忌 イフ
金婚を過ぎて感謝の年酒酌む イレ
寒雀夫に懐いているらしく ヤミ
顔揃ふことが目出度し初句会 イレ
松飾なき門先の朝日かな イマ
煮凝の舌に溶けゆくおけさ節 イカ
一杖に託せる母の初詣 シケ
煮凝や父の酔歩を引きつげり アノ
原 句 煮凝や父の酔歩をわれもまた
添削句 煮凝や父の酔歩を引きつげり
原 句 条幅に坐して華甲の筆始め
添削句 条幅に坐して華甲の筆始
原 句 松飾りなき門先の朝日かな
添削句 松飾なき門先の朝日かな
※この2句とも、送り仮名をつけています。動詞と紛らわしくなります。
「筆始め」は、動詞。紙に筆を下ろしたりする行為。
「筆始」は、名詞。筆始という節目の行事に、坐し、向き合っていること。
「松飾り」とすると、「飾り」は、動詞ですから行為となり「松を飾り(飾る)」という句になります。この句は、門松の無い門先の句の意でしょう。
名詞の松飾は、門松のこと。
歓喜院長き参道淑気満つ チシ
初詣見上げてくぐる貴惣門
初春の聖天山の朱印受く
国宝の彫刻拝す初詣
彫刻の福神様に冬日差す
空っ風これより妻沼聖天山 シケ
冬ざれやすでに薄れし寄進者名
三山の淑気纏わる奥の院
女納む満願達磨五日かな
悴みて土産の稲荷ずし重し
実盛公の由来聞きおり寒の入り オミ
皆譽願満足の文字初詣
冬空へ突き抜けいたる大欅
小説家ゆかりの店や冬座敷
走るバス両毛三山雪被る
本殿の彩色眩し寒に入る イア
聖天さま永劫平和初詣
熱燗や吟行仲間の笑い顔
凍てつく手香炉へ当てる罰当り
寒空に奇抜の屋根の貴惣門
遠山の白き頂寒に入る アヒ
初詣二股大根の歓喜天
冬晴や実盛像の筆・鏡
風やどし空を動かす大冬木
白障子閉めて親しさ増しにけり
北風吹ける上毛三山嶺白し アノ
金箔を張りし奥殿淑気満つ
奥殿を存分に見て悴めり
上州を肌で感じる空っ風
隙間風旗亭の床の軋みたる
貴惣門重ね破風の淑気かな イケ
年始め御手洗杓に身を清め
新年の聖天様に徳もらう
極彩色国宝めぐる庭の冬
句仲間と歩む武州路五日かな
空っ風右は団子屋左が門 ヤミ
修復の極彩彫刻寒日和
巡りたる聖天本堂足の冷え
足元の冷え収まらぬ無口なり
三重唐破風総門淑気満つ
往く人もとどまる人も寒に入る トンボ
足元へ寒波の波の来てをれる
まづ今年聖天さんへ初詣
太鼓鳴るけふは五日の歓喜院
はりはりと氷張りつく歓喜天