今月の入選句
春きざす弁財天の御堂より アヒ
雪だるま紅き花弁口にして イア
蕗味噌や口伝の多き厨事 シケ
どら焼きに表裏ありのどかなり アヒ
水温む仔馬を洗ふ草束子 チト
白シャツも干されし魚も凍返る ヤミ
雪の夜の音無く配る新聞屋 オミ
半蔵門桜田門の雪景色 アノ
駅前の寅さんの像春浅し ミノ
海光と花菜の明り直売所 アヒ
池の面へ松ヶ枝伝ふしづり雪 ミエ
初音かな父の立ち日へ香炷ける イカ
鶯や砲台の跡無人島 オミ
初音聞くあなたの姿まだ見えず イフ
原 句 駅前の寅さん像や春浅し
添削句 駅前の寅さんの像春浅し
原 句 海光と花菜あかりの直売所
添削句 海光と花菜の明り直売所
原 句 鶯や無人の島にある砲台
添削句 鶯や砲台の跡無人島
※添削のポイントは、句を味わって自分で見つけてください。
●「虚」と「実」とかと、よくいわれます。今月は、このことの理解を深めていきましょう。
もう一つ、俳句について
虚と実に触れた文章があります。
当日の作品抄
採荼庵跡とのみなり枯葎 イカ
冬芽びつしり川沿の櫻の木
三寒の四温深川めしの昼
百合鴎万年橋を返し来る
組み終へし追儺の櫓神明社
みやとふ深川めし屋梅の昼 オミ
春近し清洲橋下遊覧船
冬うらら採荼庵跡芭蕉像
梅椿今を盛りの芭蕉庵
川端に遊ぶ男衆梅早し
川の辺の採荼庵日脚伸ぶ シケ
春めける大河の流れこれにあり
顔先を寄せる大皿浅蜊蒸
歌詠みの一人となれる春隣
就中読めぬ字多し春隣
川沿いの桜の冬芽まだ硬し イア
釣人の話聞きつつ日向ぼこ
冬芒大河の端に芭蕉像
小名木川どちらともなく梅香る
ゆっくりと歩く深川春隣
俳聖の住みにし街や冬日和 イフ
キラキラと光りて春へ隅田川
なつかしく歩く深川冬ぬくし
深川は梅の香ほのか空青し
深川めしはワッパ盛りなり春隣
川縁に出で梅の香と土の香と アフ
紅白の梅の彩る運河べり
川筋の合流地点春きざす
春隣川を横見に翁像
閉め切りし障子に映える川明り
二ン月の深川の町静かなり アノ
春の来る万年橋を渡りけり
深川に住みし日のあり牡丹鍋
冬かもめ水門閉じし小名木川
行き交える船の汽笛も春隣
盆梅の咲きこぼれをり路地の軒 チシ
散り敷ける山茶花深川歩きをり
冬ぬくし芭蕉座像を拝しけり
マンションの並ぶ川岸日脚伸ぶ
春の朝オープン前の喫茶店
待春や翁の像と海辺橋 ヤミ
梅の香や渡れる橋の三つ四つ
訪ね来てあさり飯食ぶ春隣
川波の移ろう姿日脚伸ぶ
深川に四温日和の一日なり
早梅や仙台堀川海辺橋 トンボ
軒軒の続く軒軒梅早し
白梅や深川神明社への道
春隣近しく呼べる芭蕉さん
梅が香や曲がりて出会ふひとなりき