◎2014・2月定例句会報  2月23日

今月の入選句

 

春きざす弁財天の御堂より     アヒ

雪だるま紅き花弁口にして     イア

蕗味噌や口伝の多き厨事      シケ

どら焼きに表裏ありのどかなり   アヒ

水温む仔馬を洗ふ草束子      チト

白シャツも干されし魚も凍返る   ヤミ

雪の夜の音無く配る新聞屋     オミ

半蔵門桜田門の雪景色       アノ

駅前の寅さんの像春浅し      ミノ

海光と花菜の明り直売所      アヒ

池の面へ松ヶ枝伝ふしづり雪    ミエ

初音かな父の立ち日へ香炷ける   イカ

鶯や砲台の跡無人島        オミ

初音聞くあなたの姿まだ見えず   イフ

 

 

原 句  駅前の寅さん像や春浅し

添削句  駅前の寅さんの像春浅し

 

 

原 句  海光と花菜あかりの直売所

添削句  海光と花菜の明り直売所

 

 

原 句  鶯や無人の島にある砲台

添削句  鶯や砲台の跡無人島

 

※添削のポイントは、句を味わって自分で見つけてください。

 

●「虚」と「実」とかと、よくいわれます。今月は、このことの理解を深めていきましょう。

 

 

もう一つ、俳句について

虚と実に触れた文章があります

 

 

深川芭蕉庵周辺吟行   2月1日

当日の作品抄

 

採荼庵跡とのみなり枯葎                イカ

冬芽びつしり川沿の櫻の木

三寒の四温深川めしの昼

百合鴎万年橋を返し来る

組み終へし追儺の櫓神明社

          

 

みやとふ深川めし屋梅の昼     オミ

春近し清洲橋下遊覧船

冬うらら採荼庵跡芭蕉像

梅椿今を盛りの芭蕉庵

川端に遊ぶ男衆梅早し

                  

川の辺の採荼庵日脚伸ぶ      シケ

春めける大河の流れこれにあり

顔先を寄せる大皿浅蜊蒸

歌詠みの一人となれる春隣

就中読めぬ字多し春隣

          

川沿いの桜の冬芽まだ硬し     イア

釣人の話聞きつつ日向ぼこ

冬芒大河の端に芭蕉像

小名木川どちらともなく梅香る

ゆっくりと歩く深川春隣

          

俳聖の住みにし街や冬日和     イフ

キラキラと光りて春へ隅田川

なつかしく歩く深川冬ぬくし

深川は梅の香ほのか空青し

深川めしはワッパ盛りなり春隣

         

川縁に出で梅の香と土の香と     アフ

紅白の梅の彩る運河べり

川筋の合流地点春きざす

春隣川を横見に翁像

閉め切りし障子に映える川明り

          

二ン月の深川の町静かなり      アノ

春の来る万年橋を渡りけり

深川に住みし日のあり牡丹鍋

冬かもめ水門閉じし小名木川

行き交える船の汽笛も春隣

           

盆梅の咲きこぼれをり路地の軒    チシ

散り敷ける山茶花深川歩きをり

冬ぬくし芭蕉座像を拝しけり

マンションの並ぶ川岸日脚伸ぶ

春の朝オープン前の喫茶店

           

待春や翁の像と海辺橋       ヤミ

梅の香や渡れる橋の三つ四つ

訪ね来てあさり飯食ぶ春隣

川波の移ろう姿日脚伸ぶ

深川に四温日和の一日なり

           

早梅や仙台堀川海辺橋       トンボ     

軒軒の続く軒軒梅早し

白梅や深川神明社への道

春隣近しく呼べる芭蕉さん

梅が香や曲がりて出会ふひとなりき