◎2014・4月定例句会  4月27日

当日、入選句

 

抱き上げし子猫そのまま貰ひけり   ワユ

顔寄せて嬰に泣かるる花の昼     イレ

田の風を集めて柳芽吹きけり     ヤミ

しゃぼん玉笑顔映してはじけけり   イマ

春惜しむ阿修羅の像の列にゐて    イレ

旧町名象潟とありねぶの花      アノ

入院の夫を訪ふ夕桜         ミノ

わが家の天下取りたる朝寝かな    シケ

 

添 削

・原 句 顔寄せて嬰に泣かれし花の昼

 

・原 句 田の風を集め柳の芽吹きをり

 

・原 句 しゃぼん玉笑顔映してはじけおり

 

・原 句 春惜しむ阿修羅の像に列なして

 

・原 句 入院の夫訪ふ道の夕桜

 

・原 句 吾の家の天下取りたる朝寝かな

 添削句 わが家の天下取りたる朝寝かな

 

吾の家の…は、字余りですから、わが家の…がよいでしょう。

本人の言によれば、これは「あのいえ」の由で5文字、とのことでした。

 

確かに、吾子は、「あこ」ですから「あ」と云う読みは可能です。

 

この人のほかの句を次にあげておきます。

・母子草齢重ねど母の言

・ままごとの今もありなん花楓

・行く道のそれぞれあれど花見人

・妓王忌やえにし濃きもの弟子師匠

・大陸に入らば機下なる春の山

着飾った言葉遣いのため、句意が読みとれません。

 

今月は、どうにも低調でした。

 

●どうもよろしいいと言えぬ句ばかり、よくも揃いました。

 

心ならずも、その一部をを羅列してみます。どれも言葉あっても無内容な句なので添削の出来ない句です。

 

思ひ出を乗せて流すや花筏

座禅草悟り切れずに咲き残る

太郎冠者土筆摘みゐる能舞台    

初蝶の現れては溺る草の丈

歩板濡れし渡し場糸柳

耳元に降る老鶯の六義園

金魚市列して交わす色談義

五年目の和金琉金江戸錦

紅させる鏡に鯉の幟かな

薬湯の薄き濁りや目借時

靴下を短く履きて夏を待つ

明方の夢を引きつつ朝寝かな

大津絵の鬼の念仏花吹雪

東風強しのぞく線路下空の駅

トンネル出一瞬ブレーキ花吹雪

神代の花に座し居る至福かな   

春袷仕付け解きいて明日かな

妹が家は春盛りなり関が原

春昼の脳をバサバサ撮られけり

花筏一寸法師の見えかくれ

竜宮の使いも来たる春の変

純白の目立ちたがり屋花辛夷

川岸はお伽の国か蝌蚪の群

石楠花や岩に食い入る根の荒し

若緑鳴門海峡勇み立つ

散る未練生ずる誉菊若葉

花の雨紅の刺繍の男傘      

春の宵ケータイ持たぬ友探す

春泥の狭山の丘で富士眺望

落花舞う昔の恋を深大寺

蒼天に午後のコーヒー花辛夷

鳩二羽の愛の劇場鳥交る

一言で足る夫とゐて木の芽和

散骨と決めて目で追ふ花筏

日に透ける楠の葉脈歓喜天

養花天ゆつくり飛行船の尻

幼子の爪先立ちのしやぼん玉

 

◎六義園吟行    4月5日

この日は、六義園からソメイヨシノの故郷、染井、染井墓地までの予定でしたが思わず六義園で時間がかかってしまいましたので余所へは行かずにここで句を作ることになりました。

六義園は、柳沢吉保が造った下屋敷の庭ですが、これをを六義園(むくさのその)と呼び和歌所縁の庭とし、建物を六義の館(むくさのたち)と呼んでいましたが、現在は、庭の実が残ります。現在は、都立六義園(りくぎえん)と呼ばれています。

 

当日の作品抄

 

池めぐる径に筵や花ぐもり         イカ

青き踏む「染井櫻」は地酒の名

明日引くかきんくろはじろかたまつて

日おもてに公孫樹嫩葉見られけり

飛石に歩幅の合はぬ鳥の恋

 

鶯や園の由来を聞き居れば         オミ

雨風を耐えて残りし桜かな

春爛漫真っ只中の庭めぐる

熊笹の蛛道(ささがにのみち)若葉風

枝ぶりの若木老木みな若葉

 

花通草棚をくぐりて渡月橋         イア

蛛道を抜け来て春の光

神の棲む妹山背山花曇

花冷や吹上松の姿良し

ゆったりと藤代峠春霞

 

明るさの中にちらつく花の影        イフ

空青く花の一日六義園

生き急ぎ死に急ぐようにして落花

泉水に浮かぶ花びら亀緋鯉

立ち尽くし花を見つめる老夫婦

 

散る花と盛りの花の六義園         アノ

初つばめ妹山背山かすめけり

葉桜の枝垂れて空の蒼ざめる

かいつぶり潜る水面の波紋かな

亀鳴くや蓬莱島に舞う小鷺

 

池の面に一枝のふるる桜かな        イケ

駒込に染井吉野の生地あり

一塊きんくろはじろ水ぬるむ

楤の芽の天婦羅そえて二八蕎麦

名園の由来聞きおり花冷えす

 

清明や煉瓦造りの染井門          アヒ

春の雲風ひろびろと中の島

鶯や六義(むくさ)の園の山と川

松の芯土橋の架かる中の島

蛛道の小暗し楓の芽

 

鳥帰る通行止めの中の島         トンボ

松の芯藤代峠見はるかす

紀の川も和歌の浦にも春の風

命あるものみな光る楓の芽

築山の藤代峠木五倍子かな

吹上の浜にて
吹上の浜にて