◎2014・9 定例句会     9月28日

当日作品抄

コスモスや故山貫く旧街道        シケ

老いたれば二人で一人ななかまど     ナミ

コスモスの揺れて一景動かせる      ワヤ

草野球観ていて気付く子規忌かな     イマ

父津軽母は松前雁渡る          イカ

田端から根岸へ歩く獺祭忌        ヤミ

山頭火いさうな店の走り蕎麦       ワユ

三四郎池巡り栃の実拾いけり       アノ

田仕舞ひの煙の中の道祖神        スト

模擬店に行列続く秋日和         イマ

朝露や大名竹もつくばひも        イカ

手に載せて零余子の大事持ち帰る     チシ

天高し隣の爺は良く笑ふ         ミノ

天高し朱雀白虎の応援旗         シケ

建前の頭の木遣り天高し         イ


添削句

原 句 コスモスの揺れて一景動かせり

添削句 コスモスの揺れて一景動かせる


原 句 草野球観戦せる日子規忌なり

添削句 草野球見ていて気付く子規忌かな


原 句 田仕舞ひの煙りの中へ道祖神

添削句 田仕舞いの煙りの中の道祖神


原 句 キャンパスの模擬店に列秋日和

添削句 模擬店に行列つづく秋日和

添削句 キャンパスに模擬店揃う秋日和


原 句 放浪も無頼も遠くまたの秋

添削句 放浪も無頼も遠し秋のくる


原 句 切通し抜けて吹きくる秋の風

添削句 切通し抜ければ起こる秋の風


原 句 水引草こぼして辿る旧街道

添削句 旧街道水引草にふれながら


原 句 葛咲くや迷いし道を正しけり

添削句 葛咲ける迷いし道を正しけり


原 句 上の座に招かる齢草は実に

添削句 上の座に招かる齢草は穂に


原 句 鰯雲向ケ丘の空広し

添削句 鰯雲向ケ丘の丘の上

 

季語を活かそう

①「祭」の句と「秋祭」を区別して詠もう


ラジカセに任せる祭囃子かな

突き上ぐる纏さばきや秋祭


祭は、夏の季語

秋祭は、秋の季語

どうでしょうか、それぞれの季節感が出ていますか?


②季語は正しく使おう


草紅葉活けて座敷の白さかな

うつくしい人の手料理水の秋


どこがどうという迄もなく、適切に使われているようには思えません。歳時記をよく研究してください。


独りよがりの句


木曽三川七里の渡し群とんぼ


「木曽三川」とは、木曽川、揖斐川、長良川を指します。木曽三川の下流域の渡河は難しく東海道五十三次においても七里の渡し(またはその代替となる三里の渡し十里の渡しによる渡海を必要としたところですが木曽三川といえば、そのひとつひとつの川のことを指します。

「七里の渡し」とは、このように、江戸から東海道を宮宿まで来ると、本道は次の桑名宿まで海上七里を船で渡ることになり、これを七里の渡しと言いました。


作者本人、自分では、理解の範囲でしょうが立ち位置が不明で読者にはこの句を理解して読むことができません。使われた用語ににウソはありませんが、内容的にはウソの句と云っていいでしょう。


◎2014・9 吟行 葛飾八幡宮と    白幡神明社          9月6日         於いてギャラリ・バルコ

秋の日の荷風ゆかりの本八幡       イカ

きりぎりす昼の小体の京染屋

八脚の随身門や天高し

梵鐘に撞木なかりし秋の風

旗芒社務所に挿してありにけり

          

花木槿急行電車過ぎゆけり         アノ

秋澄める祈りの長き漢かな

参道を横切る電車秋暑し

神苑に踏切の音秋の空

実柘榴や荷風通いし大黒屋

         

祀らるる千本公孫樹秋高し         アヒ

秋與やごろんと二つ力石

秋陰や錠閂の神輿蔵

学校の正午のチャイム秋暑し

高塀の丈より高き紅蜀葵

          

天高し荷風ゆかりの大黒屋         オミ

秋蝶の随神門をくぐりけり

秋草を活ける座敷の広さかな

踏切の音秋めける八幡宮

蜩やまずは一礼大鳥居

          

秋暑し句材を探す八幡宮          ミノ

天高し荷風ゆかりの散歩道

早々と南天の実のついてをり

蜘蛛の囲を揺らしてゆけり秋の風

庭下駄の静かに置かれ涼新た

          

神主の単車を祓う秋日和          ハセ

新涼や一七〇キロの力石

神鈴の音にとまどう秋の蝶

枝先に蓑虫ゆれる苔むす樹

新涼や太鼓の音行く随身門


          

つくばひの水手に受けて涼新た       チシ

ひぐらしや葛飾八幡随神門

涼新た白幡宮の大広間

御朱印をいただく社たますだれ

新涼や目通り太き御神木

          

秋曇参道長き八幡宮            イフ         

神の木の千本公孫樹秋の空

槿咲く歴史が薫る八幡宮

天神社何奉る水引草

俤の荷風散人萩の花

          

秋暑し八幡宮の随身門           ヤミ

龍の口を黒光りさせ水澄めり

身に入むや千本公孫樹過ぐる風

初萩やはうき目清き天神社

絶え間なき踏切の音柿実る

          

色の無き風くる白幡天神社        トンボ

玉簾白幡天神箒痕

鰐口や午後の日差の水引草

その先の行方の見えぬ百日紅

実柘榴や縁起の中に頼朝公


※葛飾八幡宮の門の名は、随神門ですが句の表記は、出稿の表記のとおりです。