◎1月定例句会    2015・1・25

入選句

 

朗読の吐く息白し初練習       タリ

風邪の子の並ぶ休日診療所      アノ

すれ違ふ犬の鈴の音二日かな     ヤミ

九十を過ぎたる母の初鏡       シケ

抱いて彈句コントラバスや春隣    ワユ

何よりも足もと大事冬すみれ     ワユ

日の丸を揚げて元日ケアハウス    イカ

口ぐちに日脚伸びし別れけり     イカ

千両やわんぱく坊主に育ちゐる    オミ

 

●添削例

・原 句 すれ違ふ犬の鈴音のふつかな

・添削句 すれ違ふ犬の鈴の音二日かな

 

・原 句 日の丸を立て元日のケアハウス

・添削句 日の丸を揚げて元日ケアハウス

 

・原 句 千両やわんぱく児等に育ち居り

・添削句 千両やわんぱく坊主に育ちゐる

 

●選外句から添削

・原 句 持ち寄りて味の講釈女正月

・添削句 持ち寄りし味の講釈女正月

 

・原 句 寒の雨喉飴一つ貰ひけり

・添削句 寒の雨喉飴一つ貰ひたる

 

・原 句 初夢は富士山頂にリュック背に

・添削句 初孫や富士山頂にリュック背に

 

・原 句 正月の雑煮食べ飽きず吾傘寿

・添削句 正月の雑煮に飽きず吾傘寿

※初心者の作で、これでも季重なりがありますが…

 

・原 句 仏壇に一枝千両供えけり

・添削句 仏壇に一本千両供えけり

 

・原 句 返り花咲きて嬰児の欠伸ほど

・添削句 返り花一つ嬰児の欠伸ほど

 

◎留意すべき事柄


◑季重なり

・※大寒や湯気も供える根深汁

  大寒、湯気、根深汁。いずれも季語


◑安易な表現

・※返り花咲きて嬰児の欠伸ほど

  季節外れにぽっと咲いた花が返り花。それが

  咲くということはない

  

・※紫の三色すみれいただきぬ

  三色すみれは、三色のすみれでは?

  

・※千両のコロリころがる青畳

  コロリ転がるのは、千両ではなく千両の実

  

・※実千両実をぎっしりと付けており

  実をびっしりつけているから実千両

 

・※連れ立ちてわざと寄り道寒紅梅

   わざと行くのが寄り道では?

  

◑特に次のような句、

横道に逸れているように思います  


・※新年やたすきに夢を繋ぐ走

  箱根駅伝を詠んだもののようですが…

  

・※風花やフェアウェイをフォアの声

  ゴルフ競技場の景なのでしょうが…

 

・※お年玉もらう三歳「アナ」歌う

  「アナ」は、話題になっている「アナ雪」の

  ことでしょうか。それでも感心しません


俳句表現とは、何か?じっくり考えてみましょう

   

   

   

 

 

◎新年初詣 寒川神社  2015・1・10

雑詠抄


たはぶれて引く宝引の大当たり     チシ

往き返り寒川大橋冬ぬくし

神門を飾る佞武多絵初詣

たこ焼をわけあひ食ぶる初詣

宝引や今川焼と串だんご

          

八方除破魔矢大小護符大小       アヒ

餅花のごと縄に紅白神籤結ふ

冬晴や注連で連ねし夫婦杉

はちきれんばかりばかり日向の実南天

同じ顔揃ひて寧し年新た

          

初詣晴れし相模の一宮         アノ

初旅や単線駅舎賑わえり

拝殿の黄金の破風や淑気満つ

松過ぎの神苑巫女の小走りに

初詣願いごとなど特に無き

          

冬空に聳え立つなり大鳥居       オミ

初手水相模の国之一宮

千木高し寒川神社初詣

川端に菜の花咲くも相模かな

雪の富士ハングライダー宙に浮く

          

コーヒーを飲みて話の初詣       ハセ

八十路過ぎ三度乗りつぎ初詣

注連飾る八岐大蛇退治の絵

熱あつと出店におでん食べる人

初詣八方除のお札受く

          

宝引の当りし品を誰にやろ       イア

たこ焼きをみんな頬張る初詣

厄除けの根付いただく初詣

冬温しおみくじ結ぶ縄長き

竹樋の細き手水や初詣

          

水鳥のたがえる水脈の三つなり     シケ

手袋をとりてくぐりし大鳥居

相模国一之宮なる淑気かな

宝引のたぐりし先や少年期

寒晴の川の筋なる道祖神

         

初旅は相模国の一之宮         ミノ

拝殿の大注連縄や幸祈る

内庭に巫女の行き交う初詣

紅白の神籤結びて初詣

宝引を我もわれもと試しけり

          

神門を額縁として冬の空        ヤミ

初春の大注連縄にゆるび無し

神馬舎に猿の人形も冬ぬくし

奥殿の山茶花垣を廻らせる

開運の八方除けに冬日差

          

ひと電車分の行列初詣         トンボ

初詣五目ラーメン食うべをり

集合場所決めて散らばる初詣

宝引へわやわやわやととどまれり

寒晴の目久尻川や道祖神