◎今月の定例句会 6月2016・6・26

入選句

 

老鶯の声の間近や石佛                               チシ

足柄の森や試飲の生ビール      オミ

子供会線香花火もて終る       アヒ

水田を囲みて淡し七変化       ヒタ

閑古鳥寺宝を拝む乙寺        ヤミ

看護師の甲乙丙や心太        シケ

釣忍見番通り人気なし        シケ

新しき句帳に記す未         イケ

 

 

 

●入選句の内の添削句

 

原 句 老鶯の声を間近に石佛

添削句 老鶯の声の間近や石佛

 

原 句 足柄の森に試飲の生ビール

添削句 足柄の森や試飲の生ビール

 

※この2句、既に何回も指摘しているもの。当日は、自分で考えるように言いました。

説明句から心情を表わす俳句へ、どうすればよいのかそろそろ自得して欲しいところ。

 

原 句 人気なき見番通り釣忍

添削句 釣忍見番通り人気なし

 

 

原 句 新しき句帳に筆や未草

添削句 新しき句帳に記す未草

 

「句帳に記す未草」として、新しい句帳への挨拶の意を表しました。

 

この人の句で<梅雨晴間北欧料理嫗どち>がありましたが、言葉の羅列だけで、句に動きがなく、心情が描かれていません。

 

同年代の人たちの食事会ですから、楽しく集まりを持ったことを喜び、「北欧料理に集いけり」で十分です。それがこころを詠むことです。

 

●事実や状況を克明に詠み込むことに長けていてもその情が描かれていなければ何もなりません。

 

その例句をいちいち挙げませんが、今回は、その辺を十分に、気をつけてほしいところです。

 

 

優しい言葉でより深く。

 

 

◎今月の吟行会 2016・6・4雅楽鑑賞と皇居外濠

作品抄

          

パン屋から香る珈琲夏の       チシ
六月や雅楽鑑賞指定席
新緑や人と車の半蔵門
山法師咲きをり三宅坂の上
汗の噴く鞨鼓をたたく体験す

 

          

半蔵門目ざし攻め入る夏の      シミ
雅楽器の響きしみこむ夏衣
ひちりきを吹きて鳴らせる玉の汗
夏の服座りぐせつく雅楽会
片影を拾いて行ける正午かな

 

 

夏の天高層ビルのガラス拭      オミ
その先にあるは新樹と半蔵門
向かうのは国立劇場夏衣
若楓歌舞伎教室女学生
街路樹のささやく喫茶アイスティー

 

          
夏の日や雅楽会場小劇        ハセ
町駕篭に乗って遊べる夏ひと日
手に触れる笙篳篥や青葉風
赤き旗背後に写真風青し
疲れしを喫茶癒すアイスティー

 

城門の白のひときわ青葉       アヒ
開演を待つ間ロビーのアイスティー
試し打つ鉦鼓涼しく響きけり
雅楽見し後のブーゲンビレアかな
歯科医院に隣る稲荷社額の花

 

          
梅雨晴や管弦舞楽と対しい      イケ
ロビー夏烏帽子直垂行き交える
地下抜けてふりむく先の夏の闇
門閉ざす半蔵門の青葉闇
万緑を背に門閉ざす半蔵門

 

          
朝涼やマラソン人の弾む       ヤミ
舞楽なる舞人躍動風薫る
開場を待つ間を照らす夏の空
龍笛の調べ沁みゐて涼しかり
万緑の映ゆる御堀やあさゆうべ

 

          
陵王の右手に金の桴涼し      トンボ
管弦の音色を連れてゐて涼し
夏めけるロビーや雅楽体験会
幕間のアイスクリーム雅楽会
外濠の青葉若葉の影映す