◎2016・2月 定例句会  28日

入選句

句敵のひとりふえたる春灯     チシ

春一番スカイツリーも街の灯も   チシ

しあわせを形にすれば蕗の薹    コフ

笑いヨガ今この部屋に春が来た   イア

梅東風や館山城は山の上      ハセ

子育ての様にはゆかずシクラメン  ハセ

春めくや名札を下げて旅に居る   ハセ

日の丸のなびく駅舎や建国日    イケ

二月果つ遺影へ花の丈詰めて    イカ

ワインより日本酒梅の咲いてをり  イカ

春光や山ふところの涅槃佛     チシ

下校児の通る浜道若布汁干す    アヒ

 

 

●添削の原句

・句敵のひとりふえたり春ともし

・幸を形にすれば蕗の薹

・春めくや名札を下げて旅に出る

 

※ともすると、格好良く、素材を並べただけ、言葉だけの句となりがちです。

素材に向い、作者の気持に変化が起こり、その気持が籠められたことが感じられる句が入選句となります

 

 

●添削句一例

 

・原 句 若布汁宿下駄鳴らし朝の市

・添削句 若布汁宿下駄鳴らし朝市へ

※「朝の市」と「朝市」は、別物です。朝市へ下駄を鳴らして出掛けた句なのでしょう。

 

 

・原 句 どのママも前抱き嬰や桃の花

・添削句 どの親も前抱き嬰や桃の花

※幼児言葉は、馴染みません。

 

・原 句 猫の恋三日家出の親不孝

・添削句 恋猫の三日家出の親不孝

※この家出の主は恋に陥った猫のことでしょう。

親不孝と作者は戯れているようです。とすれば、

「恋猫」。

 

 

 

◎今月の吟行 新宿・金町 23015・2・6

作品抄          

 

川風の髭題目碑春寒き          イカ

禅定と愛名の松や冴返る

寄墓のさきの白梅まだ莟

街道の岐るるところ梅の寺

梅東風や献燈跡の台座のみ

 

         

春寒し新宿二丁目慶圓寺         ミノ

旧道の別れ道なり梅日和

山門をくぐりて松や冴返る

広々と墓地の広がる水仙花

神官の奥に消えゆき冴返る

          

 

春浅し杭につながる舫い船        ハセ

中川の春を満喫伝馬船

梅香る水戸街道の車数

山茶花の横丁横丁に咲き残る

亀有も金町も春タウンバス

          

 

春寒き中川橋を渡り居り         オミ

春浅し川に渡しの名残りかな

余寒なお波の意のまま舫い船

椨の木の記憶語りて春寒し

街道の馬頭観音蕗の薹

          

 

旧道を殿と行く梅二月          アヒ

本堂を隠さむばかり若緑

若松の支へ十本二十本

紅白の梅に開花の遅速あり

オムレツを頼まん春の洋食屋

          

 

春の川波間に見える渡し跡        アノ

旧道の人影見えず春の昼

旧道の馬頭観音冴返る

羽目板の崩れ老舗や春愁う

花椿路地の入り組む旧街道

         

 

中川のゆるゆると春運びおり       シミ

中川や春の光のはね返る

中の宿空の青さや犬ふぐり

梅の香に酔いて新宿通り抜け

天を突く黒き梢に二月来る

          

 

舟着場跡に立つ波春浅し         チシ

紅梅や斎念仏の供養仏

早春や日枝神社の朱の鳥居

山門をくぐりて庭や水仙花

留石をうつかり越えて春寒し

          

 

松の名の禅定とあり冴返る        ヤミ

長屋門跡に立ちゐる余寒かな

立春や人うならせるレモンの樹

池簀守と大書墓や梅白し

春立つや遠目に馬頭観世音

          

 

旧道の鈎の手あたり花椿        トンボ

春浅し陸前浜街道の松

松風や髭題目の立増寺

竹のこと竹に習へと冴返る

待つほども無くてバス来る梅日和