電柱へ烏が着地冬に入る
物干しの竿で届かぬ冬の雲
新聞も牛乳も来る龍の玉
花八つ手書留ですと云はれゐる
冬迎ふこころの仕度赤き花
はみ出して歩道をふさぐシクラメン
ブルーライトヨコハマと冬ラジオから
落葉踏む雲海踏んで行くやうに
人生に重荷ありける懐炉負ふ
普茶料理店にきてゐる三の酉
茶の花の意思なり蕊の黄金色
落葉掻く応へて湯気の立ちにけり
講演の窮屈の椅子一葉忌