2011・1月

トンボの句 雑詠抄

パソコンへ御慶の一打打ちにけり

朝からの雪止むラジオののど自慢

明日はまた真新しき日寒夕焼

臀の下冬を眠れるもののをり

胸の扉を風のたたける山眠る

三味線の音のかぶさる雪の降る

風花やスクランブルの交差点

寒夕焼ここかる海へ十二キロ

霜柱博物館をもたげをり

探梅やアンダンテカンタービレ

着脹れし自画像画いてをりにけり

顔に手を当てて冷たし小正月

大寒のブランコ鉄棒滑り台

風花や橋をくぐれる遊覧船

 

 

読み方雑感

原 句

寒紅梅琴の音さやか東照宮

 

読み方

かんこうばい ことのねさやか とうしょうぐう

 

ポイント

寒紅梅と東照宮の取合わせだけでも、一段と清かな東照宮の様子が感じられますね。さらにそこへ琴の音を加え、念を押すように、清かと云ってしまっています。そのため、情景も、」「清か」な雰囲気も消えてしまいした。少なくとも、「清か」は、消しましょう。そして、さらに、「琴の音」も消して一句を完成させてください。

 

添削句

寒紅梅琴の音のする東照宮

 

 

 

 

原 句

もう顔の思ひだせない賀状来る

 

読み方

もうかおの おもいだせない がじょうくる

 

ポイント

文字通りこの句を読むと、今まで年賀状などもらったことはなかったけれど、突然思い出したように今年は、年賀状が来たがもう顔も思い出せない。ということなのでしょう。

それとも、何時も賀状は来るけれども、疎遠が続いて、顔が思い出せなくなってしまった、ということなのでしょうか。そこが曖昧ですね。多分、このことを句に詠んだものとして、添削句を示して置きます。

 

添削句

もう顔の思ひだせない賀状かな

 

 

 

原 句

寒晴や女人かかへし弓袋

 

読み方

かんばれや にょにんかかえし ゆみぶくろ

 

ポイント

女人と云う場合、ある年齢を重ねた女の人を連想しますね。高校生や女子大生などではないでしょう。そういう人が、弓の稽古に通っているのでしょう。「かかへし」ということで、この「し」によって、情景が見えなくなり、説明になってしまっています。俳句の要点は、「いま」「われ」「眼前」と云われたのは、今は亡き、上田五千石氏です。至言ですね。この句を「いま」にすれば、「眼前」に「われ」が見ている句になるでしょう。

 

添削句

寒晴や女人かかへる弓袋

 

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