木守柿この一村の日本なり
誰彼の於いて遊べる猫じやらし
アリバイを問はるるならば薄原
つぎから次馬の通れる新松子
深秋の信州信濃馬の顔
牛はただ黒く伏せゐる秋の暮
鯉は背を見せて消えゆく水引草
頭の上はすべて空なり秋の風
刻止める枯蟷螂の時の行く
秋深し篳篥鉦鼓青海波