2011・5月

 トンボの雑詠抄

パトカーの二台きてゐる蛇の皮 

雨雫こぼれて紅し若楓

返り来ぬ昔を今と蛇の皮

朴の花馬穴に活けて閻魔堂

寝釈迦佛足裏の種字を蟻這へる

大使館蔓の手伸ばす鉄線花

さざなみのひたひたひたと栗の花

諸葛菜再びくることなき駅舎

大瑠璃や忽ち山の深くなる

かたつむり呼べば角など出してをり

救急車音止み停まる桐の花

長谷寺にもとめし念珠若葉雨