パトカーの二台きてゐる蛇の皮
雨雫こぼれて紅し若楓
返り来ぬ昔を今と蛇の皮
朴の花馬穴に活けて閻魔堂
寝釈迦佛足裏の種字を蟻這へる
大使館蔓の手伸ばす鉄線花
さざなみのひたひたひたと栗の花
諸葛菜再びくることなき駅舎
大瑠璃や忽ち山の深くなる
かたつむり呼べば角など出してをり
救急車音止み停まる桐の花
長谷寺にもとめし念珠若葉雨