今月の四苦八句 2012・8月

  トンボの句抄

有明の露の鐘の音蓮生寺

風の来て萩女郎花筒井筒

寄せる波踏みて更けゆく盆踊

いつの間に虫の夜となる筆硯

太白のまづ出て東京賑へる

ひと房の葡萄の重し箴言集

一粒は一語となれり黒葡萄

哀しみはのみどにありし黒葡萄

城跡を赤蜻蛉の囲みゐる

音もなく色なき風の山河かな

水勢の秋の音立つ山河かな

水槽に海月ひくひく秋暑し

秋暑し触れみて忠犬ハチ公像

一炊の夢から続く秋の雲

白桃の存外強情ものなりし

行く雲は行くに任せる風の秋

新涼や魚の煮つけと生姜みそ

ひぐらしや病院二つ並び合ふ

ひとこひしひとこひしなむ法師蝉

少年や竿と帽子と青胡桃

めぐりあひてみしやそれとも鉦叩

 

 

どれだけ遣える句だろうか?