トンボの雑詠抄
五十鈴川御手洗場なりしぐれくる
冬の来る花舗を囲める花の赤
すは枯野逢魔が時となりにけり
山々の呼びかはしつつ冬の来る
こがらしへ回転ドアを回り出る
茶の花の在りて玉砂利日照雨する
神馬糞る(まる)すぐさま湯気の立ちにけり
大勢のなかのj一人の息白し
伊勢に来てまづは会いたる帰り花
振り返る時に在りたる冬ざくら
冬紅葉博物館の屹立す
幾度の冬へと移築後六窓庵
冬紅葉水面の反射さわがしく
冬めける庭へと這入り行きにけり
つくばひに深深と水冬景色
黄千両慇懃無礼の姿あり
黄千両博物館を仰ぎ見る
靴音も博物館も冬めける
冬空や見に行く国宝観楓図
逆光の光り固まる冬芒
冬ざるる安否あやしく人のをり
事始め朝から喪中葉書くる