◎今月の四苦八句 2013・12月

トンボの雑詠抄

 

五十鈴川御手洗場なりしぐれくる

冬の来る花舗を囲める花の赤

すは枯野逢魔が時となりにけり

山々の呼びかはしつつ冬の来る

こがらしへ回転ドアを回り出る

茶の花の在りて玉砂利日照雨する

神馬糞る(まる)すぐさま湯気の立ちにけり

大勢のなかのj一人の息白し

伊勢に来てまづは会いたる帰り花

振り返る時に在りたる冬ざくら

冬紅葉博物館の屹立す

幾度の冬へと移築後六窓庵

冬紅葉水面の反射さわがしく

冬めける庭へと這入り行きにけり

つくばひに深深と水冬景色

黄千両慇懃無礼の姿あり

黄千両博物館を仰ぎ見る

靴音も博物館も冬めける

冬空や見に行く国宝観楓図

逆光の光り固まる冬芒

冬ざるる安否あやしく人のをり

事始め朝から喪中葉書くる