雑詠抄
炎昼や犬に曳るるままに人
旧東海道川崎砂子油照
揚花火消えても消えぬ白煙
次を待つ花火に口を開けてをり
大浪に砕けて散るも夏燕
向日葵や踏切いつになく開かず
たらたらと漆の木あり油照
炎天や自動で開くふとん店
緑蔭へ預けてをれるいのちかな
伝令の蟻来て蟻の列乱る
何事もなくて静かや蟻地獄
音のして無音の世界蟻地獄
震度4の地震の報ある大暑かな
遊ぶ子の声の聞こゆる大暑かな
片陰やむかしはありし魚店
風鈴の終着駅へ着きにけり
文机の上に置きある蚊遣豚
ひとの来て蚊遣の煙動き出す
玉砂利の音を踏みゐる大暑かな
夾竹桃の角を曲りてのうぜんか
蟬の声彼方に一条戻り橋
夏安居の僧衣はたはた行きにけり
勲章と嘗ては云ひし玉の汗
暑気中り参議院選挙投票す
四苦八苦。
どんな気持ちで俳句とつきあっているの?
その句にはどん気持ちが込められているの?
語ることで、聞くことで、
句あれば楽あり。そんな俳句を、ともに。