目次
◎1.8月定例句会報
◎2.8月句楽吟行 夏休み
◎3.俳句の語句の読み方
入選句
朝露や姥の目籠の畑つもの イケ ← 朝露や姥の目籠の畑のもの
植え替えてムラサキオモト溢れけり ナミ 但しムラサキオモトは季語ではない
カンナ咲くひとり住まひの女流画家 アヒ
旧街道卯建格子戸釣忍 アノ
そばの花咲かせそば屋の休み札 ヤミ
秋暑し眼じろりと大首絵 シケ
土用波塩屋岬を洗ひをり チシ
たなごころ返す手の波盆踊 ヒタ
盆踊太鼓の調子打ち変わる チシ ← 打ち変わる太鼓の調子盆踊
生国の山気纏へる盆踊 シケ ← 生国の山気纏ひて盆踊
その他添削句
原 句 ●車椅子押して輪の中盆踊 添削後 車椅子押して輪に入る盆踊
原 句 ●母に似し兵児帯ふたり輪に踊る 添削後 母に似し兵児帯ふたり盆踊
原 句 ●朝刊をめくる音して涼新た 添削後 朝刊をめくる音する涼新た
前回から、読みの他若干の見解を加えています。
・千切木の役にも立たぬ雲の峰
…千切木は、「ちぎりき」。乳の高さほどに切った棒の意で乳切木とも書く。狂言の一つにあり、「連歌の集まりを邪魔してたたき出された太郎が、女房に励まされて一同の家々へ千切木を持って仕返しに行き、相手が居留守を使うととたんにいばる」という内容。
・藍納戸花いろもめん鉄線花
…納戸は、「なんど」。
納戸色のことで青色。藍は、青。花いろもめんと言う落語があり、花いろは、縹色のことで青。同じ色の名をあげているだけですがこの仕掛が分かる人にはクスリと笑えるだろうという作句の工夫。俳句の形の一つ。
・祭笛幽庵焼のいでる頃
…幽庵焼は、「ゆうあんやき」で和食のやきものの一つ。江戸時代の茶人の北村祐庵(堅田幽庵)が創案したとされるもの。醤油・酒・味醂の調味液にユズやカボスの輪切りを入れたものを用いた魚の付け焼き。
・六月のまさに銭湯一壺天
…一壺天は、「いっこてん」。壺中の天と同じ。
・埒もなく続くくつさめ梅雨兆す
…くつさめは、くしゃみのこと。
・緑蔭や読んで聞かせる「グリトグラ」
…グリトグラ、は今話題の絵本の様です。それを読んで聞かせていると言う事ですがそれまで…。この句の読者にグリトグラが何を呼び掛けてくれているのでしょう?
・濃紫陽花崩れし門の手斧跡
…手斧跡は、「ちょうなあと」。「跡」は、「痕」のミスプリでしょう。 門に「手斧目」が遺っていたという句。
・なつかしや子守の駄賃ゆすらうめ
…ゆすらうめは、桜桃の事、この句では桜桃の実のこと。
・篠懸の街路に軽し白き靴
…篠懸は、「すずかけ」。