◆2019・11月号

目次

 

◎1. 10月定例句会報

◎2.  10月句楽吟行 船で行く浜離宮

◎3. 俳句の語句の読み方

◎1.定例句会報  2019・10月  於・2019・10・27

入選句

 

木犀や路の入り組む坂の町        アヒ

御神火を尚赤くして秋没日        シミ

散策の見渡すかぎり秋日和        イケ

尖塔に校旗の紫紺蔦紅葉         アノ   原 句 尖塔の紫紺の校旗蔦紅葉

はぐれ雲たぐり寄せたき秋の空      イケ

仏花の小菊咲かせて二人老ゆ       チシ

憎き程青き空なり台風過         イア

秋の夜の古代裂など取り出しぬ      イケ   原 句 秋の夜の古代裂など手すさびに

穭田の辻の双体道祖神          アヒ

また一人仲間の逝けり露の玉       ナミ

草蝨旅行鞄に忍び入り          コフ

爽籟や三番出口皇居前          イケ

唇を噛み締め戻る草紅葉         ミノ   原 句 草紅葉点となりたる歩荷かな

草紅葉点となりゆく歩荷かな       アヒ 

 

◎2.  今月の句楽吟行 10月05日 船で行く浜離宮

          
文化の日老松の色衰えず          ミノ
秋暑し橋の名読んで川下る
ナナカマド色つきはじむ頃となり
ひとはけの白きペンキの秋の空
秋風や赤錆めだつ市場跡つ

          


萩の花一叢二叢数知れず          オミ
橋の名を覚えきれずに秋の川
秋澄むや高層ビルと秋桜
残暑尚芭蕉の像は左岸
都鳥それとも鷗秋日和

         

 

秋晴や集合場所は乗船場          チシ
秋うらら外つ国人と乗り合へる
駒形橋くぐり両国水の秋
烏瓜だれか見つけてみんな寄る
白萩と紅萩愛でつ浜離宮

          

 

曼殊沙華船にて着きし浜離宮        フチ
白波を残すクルーズ秋の空
コスモスや水上バスの発着地
コスモスを通り抜けくる風やさし
秋茜飛行機雲は尾を伸ばす

          


秋の航始めくぐるは吾妻橋         シミ
日の丸を掲げるデッキ秋の風
すれ違う船へ手を振る秋日和
倒木の端に吹かるる秋の蝶
浜御殿引くも長かり烏瓜

          


秋爽や水上バスの艫に居て         アヒ
秋高し船より見上ぐ芭蕉像
溢れ蚊や市場の跡へ来てみれば
水の秋船で着きたる浜御殿
三百年の松の勢ひや色変へず

 

 

白芙蓉外国人とすれ違う          ヤミ

その中にピンクのありぬ黄コスモス

酔芙蓉夜は無人の離宮かな

四阿に人の居ぬごと蜻蛉飛ぶ

風吹くやこぼれる萩を手に受けり

          


曼殊沙華此処なる所浜離宮         トンボ
天高し三百年の所縁松
黒々と川鵜と烏酔芙蓉
野に置けと一つ加へむ秋桜
コスモスへコスモスの風いまは無し

 

◎3. 俳句の語句の読みプラス・寸言


・秋の昼吐息ひびけるカテドラル

 

…カテドラルは、キリスト教で司教の座席(カテドラル)が設けてある、司教区の中心となる聖堂。
 

・千切木の役にも立たぬ秋の暮

 

…、千切木は「ちぎりき」。
 

・八月や黄泉平坂大和より

 

…黄泉平坂は、「よもつひらさか」。現世と黄泉(死後、魂がいくという所)
の境にある坂。この句の意、よく分かりません。
 

・末伏や押して手のつぼ足のつぼ

 

…末伏は、「まっぷく」。立秋の後の初めの庚の日。三伏の一つ。
 

・長岡の夜空劈く大花火

 

…劈くは、「つんざく」。

左 棉の花、夏の季語

 

右 桃吹く、秋の季語

 

 

 

 

・桃吹くや利根の川原の利根の風


…桃吹くは、「ももふく」。棉の実の事。季語で棉の実、棉実る、棉吹く、桃吹くなどと云う。なお、棉の花は夏の季語。植物名の時は「棉」で、製品になると「綿」という。

 

・須弥壇に水蜜桃を供えけり

 

…須弥壇は「しゅみだん」。

 

・パエリアに見知らぬ貝や海の家…パエリアは、米どころとして知られるスペイン東部バレンシア地方発祥の、ジャバニカ米と野菜、魚介類、肉などの食材と共にそのスープを米に炊き込む料理。スペインを代表する世界的に人気の料理の一つで、本場バレンシア地方ではパエリアの祭りなどもある。食材は、白身魚、エビ、ムール貝(ムラサキイガイ)、ヨーロッパアカザエビ、イカなど魚介類を用いたパエリアが有名だが、バレンシア風パエリア(paella valenciana)はウサギ肉、鶏肉、カタツムリ、インゲンマメ、ピメント(パプリカ)など山の幸を中心に用いて作る。以上はパエリア料理の本から抜いたものですがその海の家で出されたものは自分で思っていたものではなくその土地独特の貝だったのでしょう。

 

・大紫集ふ岩場や滝しぶく

 

…大紫は、「おおむらさき」。蝶の「オオムラサキ」ことでしょう。

 

・木槿咲く佃の路地や犬走

 

…犬走は、「いぬばしり」。建築用語としてではなく、単に犬が通れるくらいの幅しかない道の意として使われているのでしょう。