▲2020・04月号

目次

 

◎1. 03月定例句会報

◎2. 句楽吟行 新コロナウイルス騒動で中止

◎3. 俳句の語句の読み方

 

◎1.定例句会報  2020・3月  新コロナウイルス騒動              で句会は中止・会報へ作品投句

入選句

 

みすゞ忌や私は私ひとり居る      光 代

なつかしく歌はさらさら春の川     文 子   原 句 なつかしき歌はさらさら春の川

耕人のつと反り返る向い風       文 子   原 句 耕人やつと反り返る向い風

一山を統べる梅の香本門寺       美智子   原 句 一山のすべて梅の香本門寺

春の蝶歩道橋来るリボンの子      美智子   原 句 春の蝶歩道来しリボンの子

みはるかす揖斐川尻の遠かすみ     け い

岩越えて波のこおどり春の川      愛 子   原 句 岩にあたる波のこおどり春の川

何処までも付いてゆきたき春の川    静 江   原 句 何処までも付いてゆきたし春の川

春の雷孫は合格告げに来る       武 子   原 句 春の雷孫は合格告げにけり

緑青の甍へ風の枝垂梅         紀 夫   原 句 緑青の甍や風の枝垂梅

春泥の筵伝いを心字池         紀 夫   原 句 春泥や筵伝いに心字池

友達も杖つく散歩緑立つ        節 子   原 句 友達も杖つく散歩みどりの葉

 

◎2.  句楽吟行 新型コロナ蔓延のため中止

◎3. 俳句の語句の読みプラス・寸言

 一頁・鬼瓦垂氷の軒を統べゐたる

 

 …垂氷は、「たるひ」。
 …統べゐたるは、「すべいたる}

 

・寒施行門前雀羅といふけれど

 

 …寒施行は、「かんせぎょう」。冬の季語。
 …門前雀羅は、「もんぜんじゃくら」。

 

・寒鯉や警策棒を打たれ来て

 

 …警策は、「けいさく」。

 

・願掛けの地蔵の縄を解く除日

 

 …除日は、「じょじつ」。おおみそか。大晦日の副題として歳時記に載っています。

  この句難しく読み上げていますが普通に俳句へと翻訳?すれば、《大晦日願掛け地蔵縄ほどく》

 

・湖没日比翼のスワン渡りきて

 

 …没日は、文字通り読めば、「ぼつじつ」ですがこの句「いりひ」と読んだほうがよいでしょう。
 …比翼は「ひよく」。『広辞苑』には、「2羽の鳥が互いにその翼を並べること。

  比翼の鳥、比翼連理」と出ています。この語の出典を考えれば、「比翼のスワン」などという

  使い方をするのものではないと思います。

 

・歳神も子等も帰りて過ごしをり

 

 …歳神は、「としがみ」。

 

・買初の九谷の手塩皿を選り

 

 …手塩皿は、「てしおざら」。『広辞苑』に「小さく浅い皿の称。もと、膳部の不浄を払うため、

  これに塩をもったからいう。てしお。おてしょ」。

 

・皸やそっと息吹く賄い婦

 

 …皸は、「あかぎれ」。

 

・整列さす姪孫九人お年玉

 

 …姪孫は、「てっそん」。漢和辞典の『漢字源』に、「おいの子ども。自分の兄弟姉妹の孫」と

  書いてあります。

 

・豊葦原大内山の年流る

 

 …豊葦原は、「とよあしはら」。《豊かに葦の生い茂っている原の意》日本国の美称。
 …大内山は、「おおうちやま」。皇居。御所。宮中。

   元来は、京都市右京区、仁和寺の北の山の名。昔、宇多天皇の離宮があった。

 

・ゴスペルの響き豊かに冬銀河

 

 …ゴスペルは英語で福音および福音書の意ですがこの句は、福音音楽のことでしょう。

  アメリカ発祥の音楽の一ジャンル。元来はキリスト教プロテスタント系の宗教音楽。

  黒人の感情の発露やアフリカ的なシンコペーションなどの特徴持つ。

 

・病床を輾輾釣瓶落しかな

 

…輾輾は、「てんてん」。寝返りを打って一定しないさま。

 

・滴滴と酢橘を搾る患者食

 

 …酢橘は、「すだち」。